運行管理者は、日報を入力するためにいるのではない

「運転日報の入力が終わらない」

「ドライバーが提出した日報を、事務員が毎日Excelへ入力している」

「運行管理者が、日報の確認だけでなく転記や集計までしている」

運送会社では、運転者の業務記録を適切に作成・保存する必要があります。

しかし、記録を残すことと、その情報を何度も入力することは別の話です。

紙の日報を回収する。

内容を確認する。

Excelへ転記する。

別のシステムへ入力する。

月末に集計する。

不足している情報を確認する。

こうした作業が積み重なっていないでしょうか。

未来来来株式会社は、企業のバックオフィスを支援するBPO会社です。

私たちは、運行日報の業務についても、単に入力作業を外注するだけではなく、そもそも誰が、どの作業をする必要があるのかから考えることが重要だと思っています。

運行管理者が本来集中すべきなのは、輸送の安全を確保するための管理業務です。

そのために必要な記録は残す。

しかし、専門的な判断を必要としない入力・転記・整理まで、すべて同じ人が行う必要があるのでしょうか。

この記事では、運行日報のデータ入力代行について、法令上の記録義務とBPOで切り出せる業務を分けながら考えていきます。

運行日報とは?法律上は「業務の記録」

一般に「運転日報」「運行日報」と呼ばれるものは、運転者の業務内容や運行状況を記録する書類・データを指します。

法律上の用語では、貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条の「業務の記録」が重要です。

同条では、事業用自動車に係る運転者等の業務について、運転者等ごとに必要事項を記録させ、原則として1年間保存することが定められています。

記録事項には、例えば次のようなものがあります。

  • 運転者等の氏名
  • 車両を識別できる情報
  • 業務の開始・終了の地点と日時
  • 主な経過地点と走行距離
  • 運転者が交替した場合の地点と日時
  • 休憩・睡眠をした場合の地点と日時
  • 法令上必要となる荷待ち時間・荷役等時間などの情報

実際の記録事項は、車両や運行内容などによって確認が必要です。

大切なのは、日報が単なる社内の事務書類ではないということです。

輸送の安全や業務の適正化に関わる記録だからこそ、正確性と適切な管理が求められます。

参考:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」第8条

2025年4月から荷待ち・荷役等時間の記録対象が拡大

運行日報を考えるうえで、見落としたくない制度変更があります。

厚生労働省の「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」によると、2025年4月から、荷待ち時間・荷役等時間に関する記録義務の対象が全車両へ拡大されました。

以前は一定の大型車両が中心だった記録義務の対象が広がったものです。

荷待ち時間とは、集貨・配達場所で荷役等の開始を待つ時間です。

荷役等時間には、荷物の積込み・取卸しのほか、検品や仕分けなど、運転業務に付随する作業の時間が含まれます。

こうした記録は、ドライバーの働き方や物流現場の実態を把握するうえでも重要です。

ただし、記録する項目が増えたからといって、必ず人手による入力作業を増やさなければならないわけではありません。

必要な情報を正しく残しながら、事務処理の方法を見直す。

ここに、業務改善の余地があります。

運行日報で本当に手間がかかるのは「入力」だけではない

運行日報のデータ入力代行というと、紙に書かれた情報をExcelへ入力する仕事を想像するかもしれません。

しかし、BPOの視点から見ると、入力以外にも作業があります。

例えば、日報が提出されているかを確認する。

提出された書類を所定の場所へ整理する。

必要な項目が記載されているかをチェックする。

読み取れない文字や不足項目を一覧にする。

確認が必要なものを社内担当者へ戻す。

確定した情報をExcelやシステムへ入力する。

月末に集計用データを作る。

保存ルールに従ってファイルを整理する。

つまり、日報処理は一つの作業ではありません。

回収、確認、入力、集計、保存という複数の仕事がつながっています。

ここを分解せずに「日報入力だけ外注したい」と考えると、外注後も社内の負担が残る可能性があります。

「入力する人」を増やしても、仕事が減らない理由

例えば、運行日報の入力を外部へ依頼したとします。

ところが、日報の文字が読めない。

必要な情報が記載されていない。

走行距離の数字が合わない。

日付が抜けている。

こうした状態では、外注先も入力を進められません。

そのたびに運行管理者へ質問が戻ってくる。

運行管理者がドライバーへ確認する。

回答を外注先へ伝える。

これでは、入力する人は変わっても、社内の確認作業が残ります。

そこで必要になるのが、何を外注先が確認し、何を社内担当者が判断するのかという役割分担です。

例えば、外注先は不足項目を一覧化する。

社内担当者は事実関係を確認する。

確認された情報だけを入力する。

こうすれば、少なくとも問い合わせの経路を整理できます。

ただし、これによって必ず作業時間が削減されるとは限りません。

現在の運用や日報の品質によって効果は異なります。

だからこそ、外注前の業務整理が重要なのです。

運行日報のどこまでをBPOへ任せられるのか

運行日報の業務は、次のように分けて考えられます。

業務BPOでの対応の考え方
日報データの受領・整理委託対象として検討可能
記載項目の形式的な確認あらかじめ決めたルールで対応を検討
不足・不明項目の一覧化委託対象として検討可能
確定情報のExcel転記委託対象として検討可能
月次集計資料の作成委託対象として検討可能
記録の保存・ファイル整理補助管理ルールを定めて検討
運行実態の事実確認事業者側の適切な担当者が確認
安全上の判断・法定の運行管理業務法令に従い適切な責任者・担当者が実施

ここで大切なのは、事務作業を委託しても、事業者が負う法令上の責任まで移るわけではないということです。

BPO会社が日報を整理することと、運行の安全性を判断することは違います。

また、事実が確認できない情報を推測で補ってはいけません。

不明なものは不明として扱い、確認する。

この基本を守ることが重要です。

紙の日報をExcelへ入力することは、本当に必要なのか

ここで一度、根本的なことを考えてみたいと思います。

紙の日報をExcelへ入力する。

その作業を外注する。

確かに、社内の入力負担を減らす方法の一つです。

しかし、そもそも紙からExcelへ転記する必要があるのでしょうか。

すでにデジタルタコグラフや運行管理システムなどを導入している会社であれば、必要な情報の一部をデータとして取得できる場合があります。

その情報を別のExcelへ手入力しているなら、システムの出力機能や連携方法を確認する価値があります。

もちろん、デジタルタコグラフだけですべての法定記録事項を満たせるとは限りません。

必要な項目や記録方法を確認する必要があります。

しかし、既存のデータを活用できるなら、入力作業自体を減らせる可能性があります。

未来来来株式会社では、ここを重要だと考えています。

外注できる仕事を探す前に、なくせる仕事がないかを探す。

BPOは、作業を外部へ移すことだけが目的ではありません。

会社全体の仕事の進め方を見直す選択肢でもあります。

運行管理者の時間は、何に使われるべきなのか

運行管理者は、輸送の安全を確保するために重要な役割を担っています。

運転者の状況を把握する。

必要な指導・監督を行う。

法令に従って点呼などの業務を実施する。

運行の安全を管理する。

こうした仕事と、日報のデータ転記は、必要とされる専門性が異なります。

もちろん、日報の内容を確認すること自体が運行管理に必要な場合もあります。

そのため、日報に関わる作業をすべて切り離せばよいわけではありません。

しかし、確定した数字をExcelへ転記する作業まで、運行管理者が担当しなければならないのでしょうか。

私たちは、そこを問い直したいのです。

専門的な判断を担う人の時間を、専門的な判断が必要な仕事へ戻す。

それが、運行日報の事務代行を考えるうえでの本質だと思います。

外注する前に決めておきたい5つのこと

運行日報のデータ入力を外注する場合、最初に運用ルールを整理する必要があります。

1.どの情報を入力するのか

必要な項目を明確にします。

法令上必要な記録と、社内集計のための項目を混同しないことが重要です。

2.誰が元データを確定するのか

ドライバーが提出した内容に不明点があった場合、誰が確認するのかを決めます。

外注先が推測して修正する運用にはしません。

3.いつまでに処理するのか

毎日処理するのか。

週単位なのか。

月次集計なのか。

締切によって必要な体制は変わります。

4.例外が発生した場合、誰へ確認するのか

記載漏れや不一致が起きた場合の連絡先、確認方法、処理の保留基準を決めます。

5.どこへ保存し、誰が確認するのか

日報には運転者や運行に関する情報が含まれます。

アクセス権限、保存場所、委託先との情報共有方法、契約終了時の取扱いなどを明確にします。

法令上の保存義務を満たせる管理体制も必要です。

外注先の担当者が変わっても、日報処理が続く状態をつくる

運行日報のデータ入力は、毎日繰り返される可能性がある仕事です。

だからこそ、特定の担当者しか分からない状態を避けたいところです。

例えば、

この会社の日報はこの書式。

この欄が空欄なら確認する。

この数字に不一致があれば保留する。

このデータはこのフォルダへ保存する。

月末にはこの形式で集計する。

こうしたルールを蓄積していきます。

外注先のAさんしか分からない状態になれば、社内の属人化を社外へ移しただけです。

未来来来株式会社が目指すBPOは、特定の人が頑張らなければ回らない仕事を、手順と役割で継続できる仕事へ変えていくことです。

運行日報の入力代行は、どんな運送会社に向いているのか

例えば、次のような状況であれば、業務の見直しを検討する価値があります。

運行管理者が毎日、日報の転記や集計まで担当している。

事務員が日報処理に追われ、他の仕事に手が回らない。

紙の日報とExcel、別システムへの二重入力が発生している。

月末になると日報の集計が集中する。

担当者が休むと日報処理が止まる。

ただし、必ずBPOが最適とは限りません。

システムを導入する方がよい会社もあります。

社内の業務分担を見直すだけで改善できる会社もあります。

記録方法そのものを変更した方がよい場合もあります。

だから、最初から「入力作業を全部外注しましょう」とは考えません。

まず、現在の処理方法を確認することが必要です。

まず一週間、日報に関わる仕事を記録してみる

運行日報の事務負担を減らしたい会社に、最初に試していただきたいことがあります。

一週間だけ、日報に関わる作業を記録してみてください。

日報の回収に何分かかったか。

不足項目の確認に何分かかったか。

Excel入力に何分かかったか。

月次集計の準備に何分かかったか。

そして、その作業を誰が担当したか。

ここまで見えると、改善すべき場所が具体的になります。

入力が大半を占めるなら、入力代行や自動化を検討する。

不足項目の確認に時間がかかるなら、日報の記載方法を見直す。

二重入力が多いなら、システム連携を確認する。

月末だけ負荷が集中するなら、集計方法や処理のタイミングを変える。

「日報が大変」という漠然とした問題を、「どの作業が負担なのか」という具体的な問題へ変える。

そこから改善が始まります。

運行日報のデータ入力代行は、運行管理者の仕事を取り戻すための選択肢

運行日報は、必要な記録です。

だから、なくせばよいという話ではありません。

しかし、記録を残すために発生する事務作業まで、すべて同じ人が抱える必要があるとは限りません。

記録する仕事。

確認する仕事。

入力する仕事。

集計する仕事。

保存する仕事。

それぞれに必要な役割は違います。

運行管理者には、運行管理者にしかできない仕事を。

ドライバーには、安全に運転するための時間を。

定型的な事務処理には、その仕事に適した仕組みを。

未来来来株式会社では、この役割分担を大切にしています。

人が足りないから、誰かが無理をする。

そうではなく、今いる人が本来の役割を果たせるように、仕事の進め方を変える。

運行日報のデータ入力代行は、そのための一つの選択肢です。


未来来来株式会社の運送会社向けBPOについて

未来来来株式会社では、企業のバックオフィス業務を整理し、外部へ切り出せる仕事を検討する支援を行っています。

運行日報についても、入力作業をそのまま外注することを前提にはしません。

まず、現在の記録方法、入力作業、確認業務、集計方法を整理します。

そのうえで、

社内で判断すべき仕事

BPOへ切り出せる仕事

システムで減らせる仕事

そもそも不要な重複作業

を分けて考えます。

運行管理に関する法定業務や安全上の判断は、適切な責任者・担当者が担うことを前提とします。

実際の対応可否は、業務内容や利用システム、情報管理体制などを確認したうえで判断します。

「日報の入力に時間がかかっている」

「運行管理者が事務作業まで抱えている」

「紙とExcelの二重入力を何とかしたい」

そんな課題があれば、まず現在の業務を整理するところからご相談ください。

事務作業を減らす目的は、単に入力を早く終わらせることではありません。

本来その人にしかできない仕事へ、時間を戻すことです。


参考資料

  • 国土交通省・e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」第8条・第9条
  • 厚生労働省「物流情報局(事業者の皆さまへ)」荷待ち時間・荷役等時間の記録
  • 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」

監修:未来来来株式会社 Bpaas Bussen Ops事業部/最終更新:2026年11月3日