運送会社に必要なのは、ドライバーの採用だけではない

「ドライバーが足りない」

運送業の人手不足というと、まずこの問題が挙がります。

もちろん、荷物を運ぶ人がいなければ運送会社は成り立ちません。

しかし、もう一つ考えたいことがあります。

今いるドライバーや運行管理者、経営者は、本来の仕事に時間を使えているでしょうか。

運送会社には、荷物を運ぶ以外にも多くの仕事があります。

運転日報などの記録、請求書、売上集計、勤怠資料、取引先との連絡、各種データ入力、書類の整理。

会社によっては、これらを社長や運行管理者が兼務していることも考えられます。

新しくドライバーを採用することは重要です。

しかし、今いる人が事務作業まで抱えているなら、採用とは別の改善余地があるはずです。

未来来来株式会社は、企業のバックオフィスを外部から支援するBPO会社です。

私たちは、運送会社の人手不足についても、単純に「人を増やす」だけではなく、仕事を減らす・分ける・外へ出すという視点から考えています。

運送会社の事務代行とは?

運送会社の事務代行とは、運送事業に伴って発生する事務業務のうち、外部でも処理できるものを委託することです。

例えば、次のような業務が候補になります。

業務外部へ切り出す際の考え方
運転日報・業務記録記録済み情報の入力、整理、転記など
請求書作成確定した運賃・運送実績に基づく作成補助
売上データ整理車両別・取引先別などの集計
勤怠資料の整理勤務実績の転記や集計補助
取引先との連絡定型的な連絡や資料送付
書類管理ファイル整理、期限管理の補助
採用事務応募受付、日程調整、書類整理

ただし、すべての会社で同じように外注できるわけではありません。

運行管理者が行うべき法定業務、安全上の判断、労務管理上の責任などは、一般的な事務代行と区別しなければなりません。

外注できるのは、責任そのものではなく、その周囲にある補助的な作業です。

運送業の2024年問題は、2026年になっても終わっていない

2024年4月から、トラック運転者の時間外労働には年960時間の上限規制が適用されています。

同時に、改善基準告示による拘束時間や休息期間の基準も見直されました。

厚生労働省の資料によると、年間拘束時間は原則3,300時間以内、1か月の拘束時間は原則284時間以内とされています。一定の条件による例外もあります。

これは、運送会社にとって時間の使い方を見直す必要があることを意味します。

ただし、事務代行を導入すれば、これらの基準を自動的に満たせるわけではありません。

運行計画、荷待ち、荷役、休息、労働時間の管理など、改善すべき対象は広範囲です。

その中でBPOが担えるのは、主としてバックオフィスの負担を減らす部分です。

運送会社の生産性向上を、運行効率だけでなく、事務処理の面からも考える必要があると思います。

運転日報は、書く仕事と整理する仕事を分けて考える

運送会社の事務で、特に注目したいのが運転日報などの業務記録です。

一般貨物自動車運送事業者等には、貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく業務記録の義務があります。

運転者、車両、運行の開始・終了、距離、休憩など、記録が求められる事項があります。

ここで重要なのは、法令上必要な記録を適切に行うことと、記録された情報を整理することは、別の仕事だという点です。

例えば、運転者が記録した情報を、決められたルールに従ってExcelへ入力する。

記録の不足項目を一覧化する。

データを指定フォルダへ整理する。

こうした補助業務には、外部委託を検討できる余地があります。

一方、記録内容の真正性を確認することや、安全管理上の判断を、外部の一般事務スタッフへ無条件に任せることは適切ではありません。

また、運行記録計やシステムのデータで代替・省力化できる部分があるなら、まずその活用を検討すべきです。

日報を全部人手で入力することが、そもそも必要なのか。

そこから考えるのがBPO会社としての私たちの立場です。

請求書作成は、入力する前の情報整理が重要

運送会社の請求事務を考えてみます。

請求書を作成するには、一般に運送実績や取引条件などの情報が必要です。

取引先ごとの契約条件、運賃、追加料金、締め日、請求先など、会社の運用によって確認事項は異なります。

仮にExcelへの入力を外注したとしても、請求金額が確定していなければ作業は止まります。

外注先から、

「この運送分の金額はいくらですか」

「この追加料金は請求しますか」

「この実績はどちらの取引先へ計上しますか」

と毎回質問が戻ってくるなら、社内担当者の負担はあまり減りません。

ここで必要なのは、単なる入力担当者ではなく、入力できる状態まで情報を整える運用です。

例えば、運賃の確定は社内担当者が行う。

確定した情報を所定の一覧へ集約する。

BPOが請求書を作成する。

社内担当者が最終確認・承認する。

こうした役割分担です。

運賃交渉や契約判断まで外注するのではなく、決まった情報を正確に処理する仕事を切り離します。

運行管理者を「何でもできる事務担当者」にしていないか

運送会社で特に慎重に考えたいのが、運行管理者の仕事です。

運行管理者には、輸送の安全を確保するための重要な役割があります。

点呼や運転者への指導・監督など、法令に基づく業務も存在します。

その一方で、運行管理者が事務作業まで幅広く抱えている会社であれば、その負担を見直す余地があります。

ただし、点呼の記録を整理する補助業務と、点呼を実施する業務は同じではありません。

法令上認められた方法・体制によらず、外部の事務代行スタッフが点呼を代行できるわけではありません。

同じように、運転者の勤務実績をExcelに転記することと、運行の安全性や労働時間の適法性を判断することも別です。

未来来来株式会社では、この線引きを曖昧にしてまで仕事を受けるべきではないと考えています。

むしろ、専門的な責任を持つ人が、その責任を果たすための時間を確保することが重要です。

事務員を一人採用する前に、仕事量を確認する

運送会社で事務が回らなくなったとき、

「事務員を一人増やそう」

という選択肢があります。

もちろん、仕事量によっては適切です。

しかし、その一人に何を任せるのか、明確になっているでしょうか。

請求書を作る。

日報を整理する。

電話を受ける。

採用応募に対応する。

資料を作る。

勤怠データを集計する。

これらを全部まとめて「一般事務」と呼んでいるなら、一度分けて考える価値があります。

電話や来客など、社内で対応する必要がある仕事。

運行管理上の判断など、専門的な責任を伴う仕事。

オンラインで処理できる定型業務。

システムで削減できる仕事。

こうして整理すると、事務員一人分をそのまま採用しなくても対応できる部分が見つかるかもしれません。

逆に、整理した結果、社内に一人必要だと分かる場合もあります。

その場合は採用すればよいと思います。

BPOを導入すること自体が目的ではなく、必要な仕事を適切な人へ配置することが目的です。

運送会社の事務を外注しても、楽にならない場合がある

BPO会社として注意したいのは、外注先へ仕事を渡しただけでは負担が減らない場合があることです。

例えば、請求書の作成を外注したのに、毎回社長が金額を確認し、取引先情報を送り、書式を指示し、修正を依頼する。

これでは、作業は減っても指示や確認の負担が残ります。

そこで重要になるのが、運用ルールです。

どの情報を使うのか。

誰が情報を確定するのか。

いつまでに外注先へ渡すのか。

例外が出た場合、誰に確認するのか。

完成後、誰が承認するのか。

これらを決めていきます。

さらに、一度出た質問を次回も繰り返さないようにする。

取引先ごとのルールや例外処理を残す。

担当者が変わっても同じ手順で処理できるようにする。

人に仕事を渡すだけではなく、仕事の進め方を会社に残す。

これが未来来来株式会社の考えるBPOです。

運送会社の事務代行は、どこから始めればいいのか

最初からすべての事務を外注する必要はありません。

まず、現在の事務作業を一週間ほど記録します。

誰が、どの仕事を、何分行っているのか。

そして次のように分類します。

分類対応方針
運行・安全に関する法定業務や判断適切な責任者・有資格者等が担当
社内での承認・契約判断社内に残す
定型的な入力・転記・資料整理BPOを検討
システムで処理できる反復作業自動化を検討
重複・不要な事務作業廃止・簡素化を検討

最初の委託対象は、業務量が把握でき、判断基準が明確で、情報の受け渡しがしやすいものから選ぶのが現実的です。

請求書作成補助や、確定済みデータの集計などが候補になるでしょう。

ただし、実際に委託できる範囲は、契約、利用システム、個人情報の取扱い、社内の承認体制などを確認して決める必要があります。

AIが進化しても、運送会社の事務がすべてなくなるわけではない

AIやシステムの進化によって、定型的な文章作成、情報整理、データ抽出などは効率化できる可能性があります。

しかし、運送会社の仕事には、実際の運行や取引先とのやり取りから生まれる情報があります。

入力元の情報が不足している。

取引条件が変わった。

例外的な運送が発生した。

データに食い違いがある。

こうした場面では、情報の確認や判断が必要です。

だから、すべてを人が行う必要も、すべてをAIへ任せる必要もありません。

AIやシステムで減らせる仕事は減らす。

判断が必要な仕事は適切な担当者へ残す。

その間にある定型的な運用をBPOで支える。

この組み合わせを考えるべきだと思います。

ドライバーを採用する前に、今いる人の時間を取り戻す

運送業の人手不足は、事務代行だけで解決できる問題ではありません。

運転者の採用、待遇、運行計画、荷待ち時間、荷役、取引条件など、さまざまな課題があります。

それでも、バックオフィスに改善の余地があるなら、そこから取り組む価値はあります。

例えば、運行管理者が本来の管理業務に集中できる。

社長が請求書の作成作業から離れ、営業や取引先との交渉に時間を使える。

既存の事務員が定型入力に追われず、社内で必要な対応に集中できる。

こうした状態を目指すことです。

未来来来株式会社が考える人手不足対策は、採用だけではありません。

人を増やす。仕事を減らす。仕事を外へ出す。

この三つを組み合わせることです。

そして運送会社であれば、運転者や運行管理者など、専門的な役割を担う人の時間を守ることが重要だと考えています。

未来来来株式会社の運送会社向けBPOについて

未来来来株式会社は、企業のバックオフィス業務を支援する会社です。

運送会社についても、運行管理上の法定責任や安全判断を代行するのではなく、その周囲にある事務業務を整理することから考えます。

運転日報などのデータ整理、請求書作成補助、売上集計、書類管理、定型的な連絡などについて、外部へ切り出せる業務があるかを検討します。

ただし、対応できる範囲は、現在の業務内容や運用体制を確認したうえで個別に判断します。

「事務員が足りない」

「運行管理者が事務まで抱えている」

「社長が請求書を作っている」

そんな状況であれば、まずは仕事を整理するところからご相談ください。

運送会社に必要なのは、単に事務を代行する人ではなく、今いる人が本来の仕事に集中できる仕組みなのかもしれません。


監修:未来来来株式会社 Bpaas Bussen Ops事業部
最終更新:2026年10月11日

参考資料

  • 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」
  • e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」
  • 国土交通省「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」
  • Google Search Central「Creating helpful, reliable, people-first content」